認知症に対する補完療法としての整体
最近、周囲で認知症と診断される方が多いと聞きます。当院でも相談をされるお客様が増えているように思われます。そこで整体との相性について考えていきたいと思います。
■ 結論
認知症と整体は「症状の進行を止める治療」にはなりませんが、生活の質(QOL)を高める点で非常に相性が良い補完療法です。
■ 理由①:血流と筋肉の柔軟性が保たれ、転倒・拘縮の予防につながる
認知症が進むほど、動作が小さくなり、筋肉も硬くなりやすくなります。
整体で関節や筋肉をゆるめると次のようなメリットがあります。
- 歩幅が広がり、歩行が安定する
- 姿勢の崩れを防ぎ、転倒リスクが下がる
- 関節拘縮の予防(寝たきり予防)
特に下肢・股関節・背骨へのアプローチは、日常生活の「動きの質」を守るうえで重要です。
■ 理由②:触れられる刺激が自律神経を整え、落ち着きや安心感が生まれやすい
認知症では、不安・混乱・夜間の興奮(いわゆる“夕暮れ症候群”)といった情緒不安が起こりやすくなります。
整体のリズムある圧やゆっくりした徒手刺激は、迷走神経に作用しやすく、
- 気持ちが落ち着く
- 睡眠が整いやすくなる
- 表情が穏やかになる
といった精神的な安定をサポートできます。
「触れるケア」は認知症の方にとって理解しやすいコミュニケーションでもあります。
■ 理由③:五感刺激が“脳の活性”につながり、日常生活の意欲が上がる
整体は、触覚・固有感覚・姿勢感覚などの生理的な刺激を脳に届けます。
これは、認知症ケアで大切な
- 刺激が少なすぎない
- 過剰でもない
- 安心できる安全な刺激
という条件に合致しており、“脳の活性”をうながす環境として適しています。
実際に「施術後に会話が増えた」「笑顔が増えた」という介護現場の報告は多いです。
■ よくある誤解
- ✕「整体で認知症が治る」
→これは医学的に間違い。整体はあくまでQOL向上のための補完ケア。 - ✕ 強い刺激は効果的
→逆に不安や混乱を招きやすい。優しいタッチが鉄則。 - ✕ 無理に姿勢を正すべき
→頑固な可動域制限は無理に動かすと危険。安全を最優先。 - 背中をゆっくり撫でるだけで呼吸が安定し、表情が柔らかくなる
- 足首の可動域を整えると、歩行時につまづきが減る
- 肩や首の緊張が取れると、食事姿勢が安定してむせにくくなる
- 施術後に「よく眠れた」「穏やかに過ごせた」と家族が感じるケースが多い
- 介護負担の軽減:歩行・排泄・食事が安定し、家族や介護者の負担が減る
- 医療との相性:リハビリ(PT/OT)と組み合わせるとより効果的
- 予防的観点:軽度認知障害(MCI)の段階で整体を導入すると進行の遅延が期待できる
整体は認知症を治すものではありませんが、筋緊張の緩和・自律神経安定・脳刺激として非常に相性が良く、QOL向上に大きく役立つ補完療法です。

